・怒っているときは、大きな声を出して早口になる
・落ち込んでいるときは、小さな声でゆっくりとした口調になる
これらは誰もが経験上知っていることだと思います。
人と話をしていれば、相手が怒っているのか、悲しんでいるのか、すぐに判断できるでしょう。
これは、ある感情が、声として表現されているわけです。
この【感情】→【発声】という流れは当たり前に感じると思いますが、その逆の流れもあることが分かっています。
つまり、
【発声】→【感情】という流れです。
発声の仕方を変えることで、感情にどのような影響を与えるのかを解説していきます。
怒り
怒りを呼び起こすような出来事を、『大きな声で早く』『小さな声でゆっくり』『普段通り』の3パターンの話し方をしたときの違いを見てみると、以下のようになります。
『大きな声で早く』話すと、怒りを感じやすく、血圧や心拍は高い数値
『小さな声でゆっくり』話すと、怒りを感じにくく、血圧や心拍は低い数値
『普段通り』話すと、上記2パターンの間の怒りの程度と、数値
怒りを呼び起こさない出来事を、同様の3パターンで話すと、
男性のみ、『大きな声で早く』話した場合に、怒りを感じ、
女性ではそのような変化は出ない
という実験データがあります。
これらのことから、怒りの感情が出てきたときには、
意識的に『小さな声でゆっくり』話すようにすることで、その怒りをしずめられることが分かります。
不安
不安を感じた出来事を、『大きな声で早く』『小さな声でゆっくり』『普段通り』の3パターンの話し方をしたときの違いを見てみると、以下のようになります。
『大きな声で早く』話すと、不安を感じやすく、血圧や心拍は高い数値
不安を感じない出来事を話すときには、
3パターンとも、不安を感じず、血圧や心拍には影響なし
というデータがあります。
これらのことから、不安な感情が出てきたときには、
『小さな声でゆっくり』か『普段通り』話すことによって、不安を増強させなくて済むことが分かります。
抑うつ
落ち込んだ出来事を、『大きな声で早く』『小さな声でゆっくり』『普段通り』の3パターンの話し方をしたときの違いを見てみると、以下のようになります。
『大きな声で早く』話すと、抑うつは感じにくく、血圧は低い数値、心拍は影響なし
『小さな声でゆっくり』話すと、抑うつを感じやすく、血圧は高い数値、心拍は影響なし
落ち込まない出来事を話すときには、
3パターンとも、不安を感じず、血圧や心拍には影響なし
というデータがあります。
これらのことから、抑うつな感情が出てきたときには、
意識的に『大きな声で早く』話すようにすることで、その落ち込んだ気分を抑えられることが分かります。
怒りや不安、抑うつといったネガティブな感情が出たときには、発声の仕方を変えることによって、そのネガティブ感情を最小限に抑えることができます。
そのような感情が出てきたその場で、すぐに発生の仕方を変えるのは、少し難しく感じるかも知れません。
一旦、深呼吸をして冷静になってから、客観的に自分のその時の感情を認識して、発生の仕方を意識的に変えることを反復して行っていくことで、自然に身についていきます。
ぜひ、トライしてくださいね。
参考図書: 新版 身体心理学(川島書店)